1.大学と短期大学
大学は、主に4年制で、卒業時に「学士」の学位が授与される。短期大学は、2年制もしくは3年制で、卒業時に「短期大学士」の学位が授与される。
2. 国公立大学と私立大学
国公立大学とは、国立大学と公立大学の双方を含めた意味の語。国や国立大学法人、地方公共団体や公立大学法人などによって公共予算で設けられる大学のこと。私立大学とは、 学校法人及び株式会社によって設置される大学。関西で有名な私立大学には、「関関同立」(関西学院大学、関西大学、 同志社大学、 立命館大学)、 「産近甲龍」(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)などがある。
国公立文系
外せない科目はコレ!
英語・現代文・数学の順番で仕上げていこう
英語・現代文は、文系では欠かせないので最重要視を。さらに共通テストなどで数学の力も問われる。この3科目は、英語、現代文、数学の順にしっかり仕上げておきたい。
入試で差がつく科目はコレ!
難関校ほど地理・歴史の 仕上がりレベルが重要
難関大ほど地理・歴史の仕上がり具合が最後に効いてくる。2科目必要な場合は、2年のうちにどちらかは完成させておこう。二次試験に数学が必要な場合は、それもポイント。
国公立理系
外せない科目はコレ!
入学後も見据えて英語の力をつけよう
理系で英語が苦手という場合、単に英単語・熟語などの知識不足が原因のことも。英語は入学後も論文等で必要なので、しっかり身につけておこう。
入試で差がつく科目はコレ!
古文・漢文などの共通テスト対策を!
語い力・文法力が問われる古文・漢文などを苦手とする人は、まず “覚える”ことを習慣づけて。 英単語に比べて古語の数はかなり少ないので、点数アップにつながりやすい。
私立文系
外せない科目はコレ!
英語・現代文ともに 読解力が最大の武器
私大入試では、英語の長文 問題が多く、配点も高い。 求められるのは読解力かつ 速読力だ。 現代文においても読解力が重要になるので、じっくり取り組むべし。
入試で差がつく科目はコレ!
地理・歴史は教科書を ひととおり読んでおく
早めに教科書を頭から最後まで読み通しておこう。 暗記しなくても、全体の流れを捉えるだけで十分。用語に見覚えがあるだけでも、後の勉強にプラスになる。
私立理系
外せない科目はコレ!
英語が苦手な人こそ 時間をかけること
英・数は必須科目。 数学は得意な人が多いが、問題は英語。苦手な人はとにかく時間をかけ、量をこなすことが重要だ。そのためには早めに取り組みを。
入試で差がつく科目はコレ!
理科の仕上がり状況が 最大のキーポイント
理科は各分野基礎を付さない科目まで必要なので、そこの進捗状況がカギ。 授業が終わってからでは間に合わないので、事前に最後まで教科書を読み通し、受験勉強の土台を作っておこう。
3.入試方式のいろいろ
大学入試には次のような方式がある。
(1)一般選抜
① 国公立大学・短期大学
② 私立大学・短期大学
(2) 学校推薦選抜
① 公募制推薦入試 (国公立大学・短期大学、 私立大学・短期大学)
② 特別指定校推薦入試
(3)総合型選抜
学校推薦型選抜
外せない科目はコレ!
最低限、 共通テスト 程度の学力は必要
指定校推薦や公募推薦など、パターン別に対処法は異なるが、 共通テストの受験を課す学校もある。入学後のことを考えると、同級生に劣らない学力はつけておきたい。
入試で差がつく科目はコレ!
面接に必要な自己表現力を
面接の重要度によるが自己表現力は大切。 その基盤になるのはやはり現代文や小論文の力。自分の考えを日頃から整理して、文章にまとめる練習をしておくといい。
総合型選抜
外せない科目はコレ!
英語・現代文に加えて志望理由書もポイント
総合型選抜では、 英語現代文は一般選抜レベルの学力は必要。 志望理由書を書く時や、 アドミッション・ポリシーを読み解く場合にも現代文の力が重要だ。
入試で差がつく科目はコレ!
考えることに慣れて小論文のスキルアップ
小論文に強いのは日頃から物事を考えることに慣れている人。 新聞を読む時も、たとえば 「社説」は反論しながら、「読者の声」は切り口に注目しながら読んでみよう。
(1)一般選抜
すべての国公立・私立の大学・短期大学が 1~3月に実施し、 学科試験(実技試験も含む) によって選考する入試を一般選抜という。数校の併願受験も可能で、合格しても入学を辞退することができる。 高校卒業見込 みの者なら、厳しい資格 (条件) があるわけでもない。 難易度はまちまち。各大学の入試についてよく調べ、自分の実力を考えた上で最適の受験計画を立てよう。
① 国公立大学・短期大学
国公立の大学・短期大学入学希望者は、 「大学入学共通テスト」(以下、「共通テスト」) を受験後、各大学・学部が個別に実施する試験(2次試験)を受験しなければならない。受験教科科目数は各大学・学部によってさまざまである。また、国公立大学では、2次試験の定員を前期と後期に分けて募集をする (一部の公立大 では中期日程も実施)。前・中・後期でそれぞれ1校しか出願ができないので、2回もしくは3回しか受験のチャンスがない。教科ごとの学力試験が主流の前期日程試験は2月下旬から、総合問題や小論文、面接試験も含まれる後期日程試験は3月中旬から実施。募集人数の割合は前期日程の方が高く、募集人数の割合が低い後期日程の志願倍率は高くなる。近年は、一般選抜での募集が前期日程のみの大学・学部が多く、難関大や医学部を中心に毎年増える傾向にある。同一大学の同一学部でも、 前期・後期日程で試験科目や選抜方法が異なる場合が多い。
国公立大は、共通テストおよび個別 (2次) 試験の教科・科目、配点、募集人員などが記載された「入学者選抜要項」を7月末までに発表することになっている。受験に必要なあらゆる情報が載っていて、前年度からの変更点などにも触れていることもあるので必ず目を通そう。「募集要項」は11月から12月中旬頃にかけて配布される。こちらには受験の際の注意点がくわしく書かれており、出願に必要な書類も含まれているので志望大学のものは必ず早めに入手しよう。
留意点
○各大学・学部の 『募集要項』は各自で請求して取り寄せる(ただし、共通テストの出願は校内で一括して行う)
○個別試験[2次試験の出願の受付は、前期・中期・後期日程とも1月下旬~2月上旬で、 出願は各自で行う。
○前期試験で合格をして入学手続きを行った受験生は、中期・後期日程では合格できない。 中期・後期日程を両方受験し合格した者は、両日程で合格できる。
○共通テストの得点結果を見て、2次試験を受験できないという「2段階選抜」の制度がある。
大学入学共通テスト
大学入学共通テストとは、高等学校の段階で学習する各教科の内容にもとづき、大学入試センターが問題を作成し、受験生の基礎的な学習の達成度を判定するための試験。国公立大学・短期大学への進学を希望する者は必ずこの試験を受験しなければならない (推薦選考で共通テストを免除する場合あり)。
また、私立大学で共通テストを利用する大学も数多くある。 難関私立大学の場合、 国公立大学を第一志望とした受験生が共通テストを利用して私立大学を併願受験することが多い。 よって、共通テストを利用して私立大学を受験する者の偏差値は高く、共通テストの対策を十分に行っておく必要がある。
留意点
○共通テストの出願は現役高校生の場合、 在籍する高等学校で一括して行う。
○受験すべき教科、 科目数は各大学・学部によってさまざまである。
○ 志望大学・学部が決定したら、受験すべき教科・科目等、各自で 『入学者選抜要項」、 「募集要項」を取り寄せて調べる。
○国公立大学は、共通テストのあとに独自の個別試験 [2次試験] を実施する。共通テストと個別試験 [2 次試験の配点比率は各大学・学部によってさまざまである。
○共通テストのみを利用して私立大学を受験することもできる。 その場合は私立大学が実施する独自試験を受ける必要はない。
●大学入学共通テストの出願教科・科目・時間割
独立行政法人 大学入試センター(https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/)で確認すること。
●2024年度大学入学共通テスト日程
受験案内配付開始
検定料納入・・・9/1~10/5 *
出願受付・・・9/25-10/5 *
確認はがき送付・・・10/25までに到着
受験票送付・・・ 12/14までに到着
共通テスト実施・・・1/13・14
正解発表 ・・・1/13・14
共通テストリサーチ・・・1/15 (高校で)
2次試験出願
*現役生の出願は高校で一括して行う関係上、高校で締め切り日を決めます。
2 私立大学・短期大学
私立の大学・短期大学では近年、いくつもの受験パターンを設定している。 このため、 自分の志望する大学 の学部を複数回受験できるようになった。その方法・名称は各大学によってさまざまである。受験パターンの複数化の例として、前期試験と後期試験 (3月入試) やA・B・C・F日程などの受験日程の複数化、地方会場での入試、共通テスト利用などの受験方法の複数化、1科目入試、2科目入試、3科目入試、特定科目重視方 式などの受験科目の複数化、英語民間試験活用型判定の追加などがある。どの大学で、どのような一般選抜が実施されるのかを研究することは進路実現のためにきわめて重要である。
留意点
○入試科目・入試日程 (出願締切・試験・発表・手続き締切)は年々変わるので、詳細については必ず、各大学の受験案内や募集要項を取り寄せて確認すること
○志望校の過去の入試問題 (過去問) は必ず確認しておくこと。問題のレベルや出題傾向がわかり、受験勉強の計画が立てやすくなる。また、入試問題集にはその大学の簡単なプロフィールや入試倍率も載っており、参考になる。代表的な過去入試問題集は、『大学入試シリーズ (通称:赤本)』(教学社) である。
一般選抜 入試要項 記載雑誌 例
『蛍雪時代 全国 大学受験年鑑』 (旺文社)
(2) 学校推薦型選抜
高校から推薦された生徒を、調査書や面接などにより総合的に判断し選抜する入試制度。 小論文を課す大学も多い。入学希望者をひとつの試験の結果だけで判断するのではなく、 幅広い視点から総合的に判定し、大学の校風や教育方針に合った学生を選抜しようという目的で実施されている入試方法。 ただし、大学が指定する出願条件に当てはまらなければ受験できない。推薦選抜の募集方法は大きく分けて 「公募制」と「指定校制」の二通りがある。
①公募制推薦入試
公募制推薦入試 (以下、公募推薦) とは、 推薦入試のうちの主な選抜方式。大学が提示した出願条件を満たす者について、学校長の推薦に基づき、高校での成績や活動、面接や小論文、学力検査などを総合して合否を判定する。出願条件をクリアし、学校長の推薦が得られれば、全国どこの高校からでも出願できる。
国公立大学・短期大学の公募制推薦入試
国公立大学・短期大学の入試においても、 推薦入試が実施されている学校がある。 詳細は各大学の受験案内や募集要項、推薦入試の要項が記載されている雑誌等を使い、各自調べること。
特色
専願制。推薦人数を1学部 (1校)につき各高等学校から1名~数名に制限しているところが多い。また、公立の一部の大学・短期大学では、 推薦の対象を、大学・短期大学所在地の都道府県市内の高校に通う生徒、もしくは保護者または本人がその都道府県市内に在住している生徒に制限している場合が多い。高校の成績が優秀なだけでなく、しっかりとした目的意識を持ち、 個性にあふれ、リーダーシップを発揮するような優れた生徒を選考しようとしている。
選抜方法
共通テスト受験が義務づけられる推薦と、免除される推薦がある。共通テスト受験が必要な推薦の場合、共通テストの結果に加えて、調査書・推薦書 志望理由書などをもとにして合否が決定される。面接や小論文、学科試験、学科によっては実技が課される場合もある。 共通テストの受 験が免除される推薦の場合、 共通テストをのぞいた上記の成績資料等で合否が決定される。
出願方法 専願制*。
高校ごとに人数制限がある大学・短期大学の場合、校内選考があり、選ばれた者が出願可能。
* 合格すれば必ず入学手続きをし、入学する。合格以降の他校の受験は認めない。
受験資格 (条件)
高い学習成績の状況 (4.0~4.3以上) が推薦条件として要求される場合が多い。
私立大学・短期大学の公募制推薦入試・
多くの私立大学・短期大学では、一般選抜に先だって公募推薦を実施している。どの大学・短期大学でどのような推薦入試(実施対象学部・学科、選考方法、入試日程) が実施されるのか、詳細は必ず各大学の受験案 内や募集要項を取り寄せて各自確認すること。
特色
一般選抜より時期が早く、入試科目が少ない場合が多い。志願倍率が高い学校も多く、 一般選抜より合格しやすいわけではない。 推薦の方法には、一般推薦、自己推薦、特技推薦、スポーツ推薦などがあり、大学・短期大学によって多様である。面接を課す場合も多い。
選抜方法
以下の➀~⑤の組み合わせで行われる。
① 書類(調査書、志望理由書等)
②面接
③ 小論文・適性検査
④ 学科試験・基礎学力テスト
⑤ 実技 (美術系・音楽系・体育系)
出願方法
専願、もしくは併願。
受験資格(条件)
以下の①~③の資格を問う場合が多い。
① 学習成績の状況* (例: 全教科の学習成績の状況が 4.0以上)
② 科目の評価 (例:高1〜高3の英語の5段階評価の平均が4.3以上)
③ 科目(数学・理科・芸術等) の履修 (例: 数I、 数II、数IIIを履修していること)
*学習成績の状況とは、 高校3年間に履修した全教科の5段階評価の平均値のことである。複数の科目を1教科として扱うこともあるので、通知表から単純に算出することはできないが、各学年の科目ごとの5段階評価を参考にするとよい。推薦入試ではこの学習成績の状況が受験資格となること が多い。高1から3年間の積み重ねが求められる。
■□■ 学校推薦型選抜 入試要項 記載雑誌 例 ■□■
「全国大学・短期大学推薦入学年鑑』 (栄美通信)
『蛍雪時代 全国大学 推薦 & 総合型受験年鑑』 (旺文社)
□■□ 学校推薦型選抜 小論文過去問 記載雑誌 例 □■□
『蛍雪時代 大学入試 推薦&総合型合格対策ガイド』 (旺文社)
留意点
○第一志望の学校に推薦入試から挑戦したり、併願校の合格を年内に確保したりするなど、 各自の受験計画全体の中でどのように位置づけるかよく考えて受験すること。
〇推薦入試には以下の問題点が挙げられるので、注意すること。
◆不合格の場合、精神的ショックから立ち直るまでに時間のロスが生じる。
◆推薦入試で合格した大学・短期大学が第一志望でない場合、合格した学校の入学手続き(入学金等の払い込み)を行ってから、第一志望の大学・短期大学の入試に臨まなければならない。
◆専願制なら、合格後入学を辞退できない。
② 特別指定校推薦入試
推薦入試制度のひとつで、各大学・短期大学・専門学校が指定する特定の高校に限って募集をするもの。 指定する高校は、過去の入学者の実績などを考慮して決めることが多い。 そのほかに、キリスト教同盟校に限った募集をするミッション系の大学もある。指定を受けていない高校の生徒は受験することができない。
特色
完全専願制。校内選考会議で選ばれた者は必ず受験し、合格した場合は必ず入学しなければならない。
選抜方法
この推薦制度は本校と各大学・短期大学・専門学校との信頼関係の上に成り立っているものである。高校側が厳正な校内選考会議を開き、推薦希望者の中から推薦者を決定する。推薦者決定後は、各大学・短期大学・専門学校が課す学科試験や面接、小論文によって選考が行われる。指定校用の推薦席次は松蔭特薦用の推薦席次とは異なり、本人には知らされない。
指定校推薦の中でも、「薬学部」の場合は、全員受験の実力考査の成績に、高2二学期以降の数学と化学の成績を加えて席次を算出する。また、「一般受験でどの入試方式でも数学を必要とする大学学部」の場合には、全員受験の実力考査の成績に、高2二学期以降の数学の成績を加えて席次を算出する。なお、上記数学とは高2二学期以降はIIIABの成績のことである。 (2024年度高3に適用)
出願の流れ
手続きは、 申込→学内選考→出願→受験。
受験資格(条件)
各大学・短期大学・専門学校によって、 一定の推薦条件・資格が設けられている。
推薦資格の喪失
①高校在学中、 学院の品位を著しく傷つけた場合。
②高校在学中、 「不定期の謹慎」 の指導を受けた場合。
③高3時に「戒告」 「謹慎」 などの指導を受けた場合。
④高校3年1学期までの遅刻回数が60回以上の場合。
※推薦決定後、卒業までの間に処分を受けた場合も、推薦を取り消し、入学を辞退させることがある。