2005年度 青年海外協力隊の方と、「難民」についてワークショップ!

このプログラムは朝日新聞に取り上げられました

くわしくはこちらをご覧下さい。

この写真は何をしているか分かりますか?


難民(ボートピープル)が乗り込むボートの大きさの中で実際に入ってみようとした試みです。

難民事業本部・関西支部の寺西真由美様。この方は、元青年海外協力隊の方で、かつては、保育士を目指していたが、青年海外協力隊でモロッコへ行かれた方。最初は、スライドで、モロッコでの話。
その後、いよいよ難民の話。ここからが予想を超えてみんなをひきつけて、いろいろ考えさせるプログラムになりました。
モロッコの話とうってかわって、じっと座っての座学ではなく、チームに分かれてのワークショップ!

まず、横の黒板に、7枚の紙が張り出されました。全員がその前を一列に流れていきながら、それぞれの紙に書かれた説明文を読み、それが難民かそうでないかを○×で書いていくというもの。

例えば、
「自国が貧しいためにより良い生活を求めて外国へわたった人」
「留学中に政変があり、自国に戻ったら迫害を受けるおそれのある人」
でも、これが難しいんです。上の二つ、前者は難民でなく、後者は難民と呼ばれているんです。



今日は話を聞いて「難民」と呼ばれる人々について新しい知識を得ました。

1、国籍国から迫害を受ける可能性がある人 
2、国籍国外に逃げた人
3、国籍国で保護を受けられない人

この3つの条件に当てはまる人々が「難民」である。
私は今まで「難民」とは戦争中に迫害を逃れてきた人々だけのことを指す、と思ってました・・でもそれだけの理由に限らないということを知りました。また、日本にも難民と呼ばれる人々が1万人以上もいると聞いてすごくびっくりしました。(山崎彩加)






次に、各チームに、5枚の絵と、マジックが渡されました。
急な政治状況の変化で、もしも近くで戦争が起こったら家から何を持って逃げるか、それを二つ書きなさいと言うもの。それをチームのメンバーが家族だと思って、限られた時間で5つ書きなさいと言うのだ。これも難しい。
みんな、頭をひねっていたら、寺西さんから「すぐそこまで戦車が来ました。二つに絞って、逃げてください」という指示。教室がまるで戦場と化したような緊張感が漂いました。

やがてタイムオーバー。各チームの代表者が、持って逃げるものを、その理由と共に発表していきました。
みんないろんな物を考えていて感心しました。
ある家族チームは火をおこすためにライター、寒い場合のために毛布。ある家族チームは「逃げる時に軽いことと防御のためそして食物を切るためにナイフ、売って現金に換えることも出来るから服」また別のチームは「亡命の時にいるから身分証明書」。別のチームは「人間眠さと食欲には勝てないから寝具と、食物」
中でも、寺西さんに一番ほめられたのは、宝石。なぜか分かりますか?お金なら国境を越えたら使い物にならないから。
その後、寺西さんから実際の難民がどんなものを持って自国を出て行ったかを聞きました。例えば、写真。写真?アルバム?なぜ?そう言う雰囲気が教室に流れました。答は、逃れていった国で、離散してしまった場合に、家族を探してもらうためというのです。取られては困るから、金を歯に隠してというのもあったそうです。
軽いものを持って出ていくという考え方も評価されました。ただ、なぜ、軽いものがいいのか?子だくさんで、力持ちの父親は一緒に出て行くことが少ないから。男が少ないのはなぜ?戦争だけじゃない。土地を離れると、土地が無くなるからというのです。


もしも近くで戦争が起こったら家から何を持って逃げるかということを考えた時、今回はあくまで想定の上で、色々考えて二つ答えを出しましたが、もし実際に急いで逃げなきゃいけないとなった時は、慌ててしまい、何も持たずに逃げてしまうかもしれないなぁと思いました。(中泉)
グループに別れて「もし今すぐ逃げないといけない状況になった時に、あなたは何を持って逃げますか?」という質問をされて、本当にいるものが何かわかりませんでした。正解はないが、難民の多くは宝石を持って逃げると聞いて少し驚きました。水や食糧などを持って逃げるのではないかと思っていたからです。(篠原 梨栄)

そう言う非常にリアルな話の後、その次が最初に紹介した写真。
教室の前列の机を少し後にずらして出来上がった狭いスペース。そこに、寺西さんがロープで細長い囲みスペースを作ってくれました。「みんな、前へ来てください!」の呼びかけに、今度は何が起こるのかとみんなドキドキしていると、
「ここへ入ってください」「今日の参加者は29人ですが、実際はここに40人近くですよ。」
そう、このスペースこそが、難民を乗せて海をわたっていくボートの大きさなのです。
ここで、教室は荒波の東シナ海と変化しました。私はかつて見た、沖縄のすごくきれかった夕焼けの光景を思い出しましたが、同じ東シナ海とは言え、こんなにも違うのかと、想像が出来ました。
タンカーが助けに来てやっと何人かが救われるんですよ。と言う説明。少し押し合うだけで、何人かがロープの外へ押し出されました。これで、嵐の海なら助かりっこないと言うことでした。

難民の方が逃げるときに乗るボートの広さを皆で体験してみて、その一人分の座る狭さにびっくりしました。最初、結構広いボートだなぁと思っていたけれど、まさか数十人という多い人数で乗るとは思いませんでした。満員電車のような感じで、ちょっとの時間座ってるのも足が痛くて、実際に数週間も乗るとなるととても耐えられたもんじゃない!と思いました。
この体験をしてみて、難民というのは本当に命がけで逃げなきゃならないんだなぁと実感しました。(中泉)

その後、8枚の写真から、難民キャンプの写真を当てたり、難民の方の大変な生活状態の大きな写真覆った紙を分割してはがしていって、その苦しい生活ぶりに驚いたりと、本当にいろんなことを考えさせられた2時間半があっという間に過ぎていきました。



生徒感想
このプログラムに参加するまで、難民というのは私にとって遠い存在で、日本にも全然関係ないものだと思っていました。けれど、自分もいつ難民になるかわからないこと、日本にも難民が1万人以上いることを聞き、他人事ではないなと怖くなりました。
これからは難民というのは私には関係のないこと、遠い存在だと考えるのではなく、身近な問題として捉え、考えていこうと思います。二時間半があっという間に思えました。多くのことを考えさせられる、とても濃い内容の楽しい二時間でした。(中泉)

私は今まで「難民」という言葉を聞くと、祖国を追われ逃げる人というイメージしかありませんでした。しかし、難民になるためには様々な条件があり、難民として認めてもらえない、国内避難民や移民も多いということを知りました。
今回参加してみて、難民について私は知らないことが多すぎたと実感しました。そして先ほどの質問をされた時に、難民について考えたことがあまりなかったなぁと改めて感じました。考えたことがなかったから、何がいるかわからなかったのかなぁと思ったからです。また、難民を救うためにはまず、難民について考えることが大切だと感じました。今日のことは難民について知るきっかけとして考え、これから先も、もっと考えていきたいと思いました。(篠原)

私は難民についてあまり知りませんでした。日本に一万人以上もいると聞いて本当に驚きました。小さなボートにぎゅうぎゅう状態で海に出て、いつ助けが来るかわからない状態で何日も・・ていうのは私が想像していた以上にひどい状態だなと思いました。今自分が逃げなければならない状態にあって、何をもって逃げるか?というのを話し合った時は、本当に迷いました。水や食料、お金を考えたけれど、青年青年海外協力隊の人が実際の難民の人は宝石や金属などを持っていったとおっしゃっていたのを聞いて、そんなことは思いつきませんでした。本当に勉強になりました。自分がそんな立場になるようなことは考えてみたことがなかったけれど、私達の住んでいるすぐ近くには、そういう境遇を乗り越えて一生懸命生きてきた人たちがいるんだということを学ぶことができました。ありがとうございました。(養老 瑛美子)

今日のワークショップを踏まえて、明日はいよいよ実際に、町へ出て行く「ベトナムミステリーツアー」ですベトナムミステリーツアーin Kobe 〜足もとの多文化探検隊

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