2005年度 世界遺産のヒノキ削りに行こう〜きのころアイランドツアー



山や木には、人間の能力を超えた、POWERがある。自然とつながりつつ、自然の大きさを感じ、自分たち人間はあくまでこの地球の中で生かされている存在であるということを知ろう。
そう言うコンセプトで実施されたこの「きのころアイランドツアー」プログラム。
きのころ」とは、小さな円筒型の紙缶に入った、積み木のもとです。パッケージには、木片が5個、紙やすりが3枚、それからパンフレット。もうひとつ、どんぐりや松ぼっくりが入っています。この木片を紙やすりで削って、積み木を作る、というのがこの「きのころ」の趣旨です。でも、本当に「きのころ」が提案するのは、「きのころ」を紙やすりで削り、あふれ出すヒノキの香りを嗅ぎながら、その時間を楽しむことなのです。


このプログラムは、その「きのころ」削りをするだけでなく、なんと、世界遺産の吉野の林に行って、樹齢300年近くの木に触れたり、自然の大きさに包まれながら、山の名人から環境の話も聞きにいく。そんな自然とつながるためのツアープログラム。参加希望者は50人に達しました。

このプログラムをプロデュースしてくれたのは、桜井市の泉谷木材店(http://www.begin.or.jp/ ̄izutani/)若社長で、社会人教師として地元の小学生に森林や木材のことを教えている泉谷繁樹さん。


このプログラムは、フリーライターの赤堀楠雄様が同行取材をして、「木材情報」という雑誌で当日の模様を書いて下さったので、まずは、その特集ルポの文章を抜粋してこのプログラムの流れを紹介します。


ここからは写真中心に振り返ってみました。
泉谷さんが連れて行ってくださった場所は、奈良県というより、三重県に近かった。あと少し脚を伸ばせば、あの、日本一降水量が多い大台ヶ原。その日も朝から土砂降りの雨だったが、それがこの場所には似合っていたようにも思う。
とにかく、高さ50メートル以上の巨大な杉の傾斜を見せてもらった時には、幻想的な世界に入り込んだ気がした。 まさに、目を疑うような光景だった。急傾斜の山肌一面に、巨木の杉が林立していた。それも、どれもこれも、見上げてもその先端が見えないような樹齢200年〜300年の木。

光が待っている光景なんて始めてみた!
しかも、光のカーテンなんて陳腐な言葉では言い表せないような情景に出くわした。それは、杉林の中にほのかな光が差し込むというか、差し込んできた光が、森の中で霧のように揺れながら漂っているシーン。まるで、原生林のような巨木がその光を操っているようにも見えた。 なんて素晴らしい光景だったろうか!

樹齢200年!
しかも、ここにある樹ときたら、思い切り手を伸ばして、抱え込もうとしても大人4人はいる大木ばかり。そんな樹だ。おそらく樹齢200年は超えている。人間が何代も過ごしてきた時間を、この樹1本でこの地に立っていたのか。そう思うだけで、人間の存在がいかに自然の懐の中で小さいかを思い知ることになった。

きのころであたり一面がひのきの香りに
そして、きのころ体験。ヤスリにこすって削っていくだけで、みるみるうちに、角が取れて、柔らかな形になっていく。 でも、それ以上に感動したのは、削り出すなり、辺り一面、まるでお香をたいたみたいに、すばらしい香りに包まれたこと!

然とつながろう!
魚と言えば刺身、木と言えば積み木と答えてしまう人達が多い中、自然の中で生き生きと泳ぐ魚がどういう工程を踏んで、人間社会で刺身となって提供されて人とつながるのか。樹齢100年の青々とした樹木がどういう工程を踏んで、人間社会で積み木となって提供されて人とつながるのか……。人と自然のつながりを実感することの大切さやすばらしさに気づかせてくれたプログラムだった。