第1回松蔭読書会 2014.11.01 『みをつくし料理帖 八朔の雪』
授業のない土曜日開催ということもあって、生徒の参加はなかったのですが、大学の先生、卒業生、保護者の方と
さまざまな参加者が集まりました。
高1の国語の課題図書でもあるこの小説は、時代小説といえば中年のおじさんが大好きなイメージだけど、女性層を取り込む
ユニークな作品ではないか?実際にレシピもおいしいし(昨年高3ばバザーで作って大好評だった)し、「ひとくち宝珠」も司書が作成してお出ししました。
TVドラマにもなったこの作品、自分がキャスティングするなら澪は北川景子は少しイメージが違うという人が多く、・・・蒼井優、貫治谷しほり、多部未華子の名前が挙がりました。
種市が笹野高史?小林稔持とか。吉原が話題に出ると急に生き生きするあたり、キャストの大杉蓮もいいのかも。
江戸は硬水で上方(大阪)は軟水だから、江戸はかつおぶしでだしをとり、大阪は昆布とあわせだしの文化である。こんぶはおぼろ昆布というか作品中にも出てきた。
東京にいたとき、うどんの汁が真っ黒でびっくりした。 東京のそばは居酒屋で出すもので、酒のつまみてきな意味合いが強い。
奈良では雑煮もちを椀から出してきな粉をつけて食べる。自分の家だけかと思っていたら 県民ショーでもやっていた、などご当地の話がでてもりあがりました。
北海道の人は昆布を収穫するだけで食べない。海運が発達していて皮肉にも沖縄で昆布を使ったレシピが発達しているという説も。
藤沢周平、池波正太郎、司馬遼太郎などに比べてこのごろの時代小説はチャンバラもワンパターンな気がする。
時代小説と歴史小説の違いとしては、時代小説は『さぶ』、歴史小説は『樅の木は残った』。歴史的人物がでてきて歴史の出来事をメインに織り込んで順当に
進行するのが歴史小説。だからこの『みをつくし』は時代小説。江戸時代だけど、ほとんど実在の人物はでてこない。2巻以降にでてくる清右衛門が
滝川馬琴をモデルとしているようだけど、本人ではない。
作者の誠実な素敵な性格。いちいちレシピを自分で作成して吟味している 華やかではないけどおいしい。 肉料理はなく魚と野菜料理だけどいうヘルシーなセレクションも
女性受けがいい理由かな。
村上春樹や池波正太郎の小説のお料理を実際に作ってみてもあまりおいしくない気がする。それは作家がどれほどおいしいかというファンタジー(あるいはフィクション?)を
描出・創出する作家の腕であって 自分では料理をしていないせいなのか。けれど高田郁さんのは本当に調理しておいしい。そういう実利的な部分が受けているのかも?
他にも時代小説では豆腐の『あかね空』山本一力
青物市場の独占が、ねぎの直売で脅かされる『すかたん』朝井まかて などいろいろ話がでてきて、だしがとれる野菜「かつお菜」の話もしました。
次回はトーベ・ヤンソン生誕100周年の『たのしいムーミン一家』かUSJではハリー・ポッターのせいでなくなってしまった『オズの魔法使い』を
生徒のアンケートで決めようということになり、1週間アンケートをとったら3倍の多さで『オズの魔法使い』になりました。
12月16日(火)13:00〜15:00 図書館にて
課題図書を読んで、持参して参加してください。一般の方も参加もOKです。12月12日(金)の16:00までに
manabe-y@shoin-jhs.ac.jpに氏名と連絡先を申し込んでください。