卒業生からのメッセージ

神戸松蔭女子学院大学教授
田中まき さん


 在校生の皆さん、こんにちは。そして、卒業生の皆さんもご覧くださっているかもしれませんね。私はH26回卒業の田中まきです。現在は神戸松蔭女子学院大学、文学部国文学科の教員をしていますが、その前は松蔭の中高で、国語の教員をしていました。

私は、中学生の頃から、将来は松蔭の先生になりたいと思っていました。どうしてそのように思ったのかと言うと、ひと言で言えば、松蔭が大好きだったからです。松蔭の持っている明るく、楽しく、温かな雰囲気が大好きで、将来も、ずっとここに身を置いていたいと思っていたのです。担任の先生やいろいろな先生方がいつも私達に愛情を注いでくださり、私達がしっかり勉強するように工夫してくださったり、バザーやキャンプなどの行事やクラスのイベントでは、私達が充実した学校生活が送れるよう、楽しませてくださったりしていました。そして、先生方もそれを一緒に楽しんでおられるようにさえ感じられました。松蔭にはそういう喜びや楽しみを生徒と教師が共有し、分かち合う雰囲気があります。それは今も変わらないと思います。当時は、このような分析ができていたわけではありませんが、中学生なりに、先生方の愛情や、松蔭の持つ温かい雰囲気を感じ、 松蔭に戻ってくることを夢見ていたのです。

松蔭女子学院大学へ進学した私は、好きな古典文学を専攻し、卒業後、大学院へ進学すると同時に、初め、松蔭中高で非常勤講師をさせていただきました。そして、その後、専任教員になり、中学時代からの念願を果たしたのです。しかし、教師という仕事は、思っていたよりもずっと大変で、新任の頃は戸惑うことがたくさんありました。そういう中で、私は、恩師の先生方や先輩の先生方から、いろいろなことを学んで行きました。先生方はいつも生徒のために一生懸命で、生徒に力を付けさせるために、熱心に授業をなさるのは勿論のこと、クラブ活動やキャンプ・体育祭などいろいろな課外活動にもとても熱心で、そういう先生方の背中を見て、私も自然に教師として成長して行けたように思います。

私は教員になってから、松蔭の「百年史」や「110周年記念誌」の編纂に携わり、松蔭の歴史を深く知るようになったのですが、その時になって初めて気付きました。それは、このような先生方の姿勢や校風は、イギリスの女性宣教師の先生がおられた明治、大正の時代から、脈々と受け継がれてきたものだったのです。ミス・ヒュース校長の「オープン・ハート」の言葉に象徴されるように、先生方は生徒に心を開いて接し、生徒もそれに応えて、明るく、伸びやかに成長する。こういう生徒ひとりひとりを大切に育む学校の姿勢が、松蔭の伝統として、教師から教師へ、また、教師から生徒へと今も受け継がれていて、松蔭生を明るく、伸びやかな気質に育てているのだろうと思います。私自信も、小学生の頃は、どちらかと言うと、おとなしく引っ込み思案の方でしたが、松蔭に入学して、先生方の愛情に育まれ、松蔭の校風に染まって行くにつれ、明るく、何事にも積極的、前向きに取り組む性格になって行ったような気がします。

現在、松蔭で学ぶ皆さんも、「オープン・ハート」の精神で、心を開いて、先生方の愛情に応え、明るく伸びやかに過ごしてください。そうすれば、自ずと、それぞれの可能性が大きく広がって行くだろうと思います。私も、今は大学の方に移りましたが、大学生にもこのような思いで接しつつ、研究活動を続けて行きたいと思っています。

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